9.なぜそのような惨事になってしまったのか?
麻原(オウム)って“様子が変わってきた”って言われてるのが「選挙で大敗して」からだとかテレビなどで言ってるけど、本(『オウムという悪夢』)などを読んでみると麻原がやったことは雑誌『トワイライトゾーン』で売り出していた当初('85年ごろ)から言っていたことなので結論からいうと麻原が突然変わったって言うことはない、むしろ何も変わっていないと言ってもいいぐらいだろうか。しいていえば、群衆の中で麻原が誰かにコヅかれたという事があったと思うけど、それからじゃないかあ(笑)。 ただ選挙で大敗してカネに困りだしたということはあると思う。
選挙ってカネがいるらしいんですよ。“勝てば天国、負ければ地獄”のような。有名人とかで見ればよく分かるんじゃないかと思うんですけど、選挙に出る前までは順調にいってたのに選挙後、資金難で苦しんでるというものたちが・・・。例えば、プロレスの高田延彦。選挙前はUWFインターナショナルって結構栄えてて、各団体から選手呼んでトーナメントをやって勝者に一億円とかね。そういうこともやれるぐらいあったと思うんだけど選挙後に早くもUインターが経営困難で崩壊。原因は選挙とは言ってないけどカネが無くなったって事は確かだろう。あと横山やすしとか。あれも選挙前と選挙後では貧富の差があるからね。横山やすしも水道とか電気とか止められてたらしいよ。大敗すれば最悪だろうね。
で、麻原は1700票ぐらいで落選したらしいけど、投票者はちゃんと松本智津夫って書いて出したのかなあ・・・? 麻原彰晃が本名だと思って書いた奴がいたら結構な票数を無くしたんじゃないかと思って・・・。
話は戻すけど、麻原って、“金の盲者”っていうぐらい(訴えんなよ!)、カネ、カネ、カネ、カネ言ってた奴じゃん。自分でね(詳しくはここ)。あれって、捕まったときに1000万円ぐらいの札束を枕にして寝てたってテレビが言ってたことで納得いくし、雑誌『トワイライトゾーン』で当時(’85)から“シャンバラ建国にあたって戦さを用いてよいのか”とか言ってたんだし、麻原が突然変異したってことはないと思う。関係者の“信者たちの印象”もあまり変わったようには見えなかったと言ってるし・・・。
“なぜそのような惨事になってしまったのか?”に関しては、やっぱり麻原が当初から持ち続けていた破壊的ヴィジョンっていうものを急進的に押し進めた結果ってことだろうね。
麻原は一時期、「わたしはここに、わたしがキリストであると宣言する」(1991 10-24)と「キリスト、キリスト」と言ってた時期があって、普通ならさあ、新約聖書を読んだ人なら“マタイ24の5”や“ルカ21の8”とか読めば「自分は言うの避けよう」と思うんだけど麻原はそれ言っちゃってるじゃん。そういうところを考えてみると麻原は敢えてそう言ったんじゃないかと考えることもできる。
それは“敢えて反キリストになりたかったんじゃないか”ということになる。他の言動でもそれを匂わすことを言ってるわけで。例えば、「来世は阿修羅界に転生する」(阿修羅はインドでは鬼神で、仏教では常に帝釈天と戦う悪神ともいわれている)とか、「第一天界の龍とか、あるいはガンダッバ」とかガンダッバって何かわかんないけど“龍”ってキリスト教では黙示録とかで“反キリスト”を指す悪いイメージの生き物なんだよね。それを麻原が理解して言ってたんだとしたらやっぱり麻原はキリスト教でいう“反キリスト”的な世界を崩壊(破壊)に導く者になりたかったんじゃないかと。
それか、麻原は本当に自分がキリストになると予期していたのならある意味ではすごい奴かもしれない。なぜなら、“キリスト宣言”をして、イエスみたいに捕まって、裁判にかけられて、それで死刑になったんだから(まだ死んではいないけど)、ある意味では同じ運命をたどると。いうことなら、“キリスト宣言”もある意味ではウソじゃないなと思うね。
それとか、麻原はあらゆるファン層を作りたかったか、自分が「キリストです」って言って不思議なことを見せてキリスト教の信者とかを獲得したかったとか・・・。大川隆法みたいなことして・・・。
まあ、とにかく麻原のヴィジョンとしては・・・、
「わたしは二〇〇三年に確実に核戦争が起きると思ってます」(1987/11/30 和歌山県・出張「真理の集い」での予言)
「前世は 明国開祖、洪武帝(朱元璋)であった」、「1997年日本を支配し、2003年世界を支配する」と1994/2/22〜24の中国旅行で、“転輪聖王”を仮装時。
それで、自分は破壊の神シヴァで、“ヨハネの黙示録”に出てくる破壊の神と化したイエス・キリストなのだと。
そして、1997年まで時間が迫って来ている。そのうえ、警察による強制捜査も時間の問題だと。すべてが破滅という一言に集中してくる。 だからやった・・・。
・・・こんなとこだろうけど、自らの予言によって自らを追い詰めていったのかもしれない。が、そういう破壊的ヴィジョンっていうのは昔から持っていたものなんだということ。何時から変わったってことはないんだよ。
しかし、麻原も宗教的には知識はあるけどまだまだってとこで悟った人間でもなかったけど、一般的な、つまり世俗的なことに関することなら、あんだけの事件を起したのにもかかわらずまともな考えを持ってるんですよ。例えば麻原が「真理党」出馬を決意するということがあったんだけど、その時の信者に対する解答っていうのがけっこう良くて、僕からみても「まともな意見いってるなあ」と思えるほどまともなんですよ。
シッシャ新聞89.8号より
例えばね、私の娘であるカーリーとかあるいはドゥルガーの例を見ても、学校に行かせれば言葉は悪くなるし、それから不安定になると。しかし子供をそうさせているのは何かといったら、人々の心。それは、政治だよね。昔のように宗教が第一義に置かれ、修行者が第一義の地位にあって絶対的な力を振るえるんだったならば、別に政治に出る必要はないだろう。
しかし君達は、現代の政治家はけがれていると言いながら、ね、その政治によって支配されている。例えばもし政治でだよ、さあ、徴兵制だといった場合、君達は抵抗することができるかどうかだ。おそらくできないだろう。ということは、言い方を換えるならば、君達は政治の支配下にあると。そして、日本国憲法という法律に基づいて保護は一応されている。しかし、その憲法も政治の力によって変えることはできる。あるいは、憲法の解釈によって、ね、それは何とでもなると。
例えばその例が自衛隊であると。わかるかな、言ってることは。私は軍備をすることに、ね、賛成とか反対とかいう意見は今は持っていない、まだ。なぜ、軍備をすることに賛成とか反対ということを持ってないかというと、例えば、もし軍備をするんだったならば、本当に戦って勝てるような軍隊を日本に作るべきであると考えている。もしそうでなくて、一週間とか十日とか抗戦して、ね、役に立たないような軍隊だったら、初めから持つべきではないと考えている。そして国民もそれを認識するべきであると、ね。
例えばもしだよ、軍隊を持たないと仮定してそのお金が福祉に還元されたならば、ね、例えば老人福祉、それから障害者の福祉、その他大変な発展をするだろう。しかし、無智な人達は、ね、それをそう考えてないわけだね。福祉は苦しい、ね、福祉は遅れていると。ねえ、例えば消費税はどうしろと。しかし、その消費税をOKしたのは自分達じゃないかと、ね、そこは忘れてしまうと。
じゃあ、これをね、純粋に宗教的な面だけで、ね、解決できるのかと。当然できないよね、今言ったとおり。わかるよね、言ってることは。
時間がなさすぎると。例えば二〇〇三年に原爆が爆発するとして十四年しかないと。その間に総選挙は何回繰り返されるだろうかと。そんな多くの回数ではなかろうと、ね。そして今の状態を分析するならば、第二次世界大戦の始まる前とすごく似てるんだね。政治が不安定になり、それから財界が自民党を見放すと。ということは、逆行した世の中になるわけだ。そして当然、戦時中というものは宗教は弾圧される。そしてオウムのシッシャは若いから、すべては徴兵制に持っていかれ、そして軍人だ。君達がこれを良しと考えるならば政治に参加するのはやめようと。しかし、あしと考えるならば、そして真理の法を広め、ね、そして、二十一世紀の超人類の未来、透明なね、飛躍に富んだ未来を、もし君達が考えるとするならば、ここで私達は、宗教という観念から離れなければならない。大切なことは実践であると、ね。
まるで、聖人君主なみの意見である。とてもサリンで人を殺させた奴が言ったとは思えない・・・。
“徴兵制”ってのは今はないけど、自衛隊のことを考えてみると麻原の言うように憲法も変えられるし憲法の解釈により何とでもなる。実際、自衛隊派遣問題でも実際に憲法が変えられて中東に派遣されている点(自衛隊法改正)からみても、麻原の見識は正しいし、“軍備を持つこと”に関しても納得いく意見だし、軍備を持たずそのお金を別のところに回せばたいへん有益になるってことも正しい。そして今現在(2004年3月29日 (月) 午後 11時21分)の政治状況をみても、北朝鮮に対抗する為に法律を作ったり(有事法2003年6月6日成立)、軍備に力をそそいだり、自民党もいろいろ分かれたり、昔は麻原の言うように野党連立政権ってのがあって本当に国民が自民党を見放した時期(1993年村山内閣)ってのがあったんですよ。現在も世界的な目で見ると決して安定した時代ではないし、外からの脅威に「軍備だ」、「軍隊派遣だ」と言っている状況はまさに麻原の言うとおり第2次世界大戦の始まる前のようにも見えなくもない。また、現実に2003年に核戦争は起こっていないけれどもアメリカによるイラク侵攻(2003/3/20〜5/02)っていう世界戦争みたいなものがその年に起こってたわけで。
麻原って見識というか、完璧に俗世の状況ってのを把握してるんですよ。先見の明ってのが麻原にはあった。それか本当に予言者だったか・・・。だからあれほどの大成功をおさめられたんだと思うよ。
ついでに、麻原はこんなことを言っている。
シッシャ新聞89.8号より
例えば、一方ではオウムが真理の法を説いたとしても、信徒さんは大変な苦しみを味わっていると。なぜかというと、町を歩けば食欲の誘惑、性欲の誘惑と、ね、テレビを見れば綺語の連発、悪口の連発、暴力の連発と。これをね、やはり浄化しない限り、オウムでいってる、例えば十戒守りなさいよといっても、オウムのいってることは理想としてはわかるんだけどできない、という見解になるんじゃなかろうか。
私の身に対する、例えば命に対する君達の懸念だけども、これについては、菩薩というものは、ここに菩薩というものが存在しているということは、その生命そのものは、すべては、ね、救済のためにあると。だから、例えば殺されようとも、ね、暗殺されようとも、ね、捕まえられようとも、ね、そういうことは大した問題ではない、ね。
私の予言は的中してないわけだけども、まず富士山の噴火、その前哨戦として一発ね、爆発が起きるだろうと。そして案の定、伊豆の、ね、海底火山が爆発したと。そして、次に保革伯仲の時代が来るであろうと。
最後にもう一度言うよ。例えば殺生、偸盗、邪淫、妄語、綺語、悪口、両舌、ね、そして心に貪り、嫌悪、執着、無智といったような、こういうものを持たせているのは私達の環境であると、ね。その環境から離れることによって、私達はそれを得ることを一つできると。もう一つは、環境というものの中にいて、それを感じないようにして越えることができると。もう一つは、環境を越えることによって、環境を変えることによって、それを、ね、私達は得ることができると。
殺されようとも、捕まえられようとも大したことないですって。だから、裁判所であんな態度がとれるんだろうなあ。でも忘れちゃならないのは確かに麻原は素晴らしいことを言っている。しかし、麻原は人にやらせて自分はやらない奴なんです。例えば、弟子に肉断ちさせて自分はビフテキ食ってるっていうあれね。それって“両舌”だよね。“殺生”もさせてるし、“邪淫”なんて凄かったらしいやないけ。それに、オウムの教団ビデオでこのような会話があるんだけど、
真理子−−イメージによっても、殺生のデータを入れられてるじゃない。だいたいアクションものの映画、ホラー映画なんかは、自分を害する悪い者はすべて殺してしまってもいいんだというストーリー展開になっているわ。
真理子−−こうやって見てみると、殺生、性欲、食欲。
ムーラダーラ・チァクラ、スヴァデイスターナ・チァクラ、マニプーラ・
チァクラ。下から3つまでのチァクラしか使わせないように、データが巧
妙に選定されて流されていることが、よ一くわかるわ。
公平−−−そうなんだ。ムーラダーラ・チァクラは地獄界、スヴァデイスターナ・チァ
クラは動物界、マニプーラ・チァクラは低級霊域に通じているよね。
つまりボクたちは、三悪趣に転生するように、コントロールされているだ
けなんだよ。
真理子−−それがヤツラの狙いなのね。
公平−−−そう。この愛欲の世界を維持していくための悪魔の法則なんだ。
(オウム教団ビデオより)
“自分を害する悪い者はすべて殺してしまってもいいんだ”、“殺生、性欲、食欲”の下から3つまでのチャクラ、来世、三悪趣に転生するのは、“それがヤツラの狙い”のヤツラって、 その悪魔の法則を実行しているのは、・・・ってすべてお前だろう! 麻原!
という、自分でも阿修羅界に行くって言ってたけど、やっぱり、「オウム(自分)が真理の法を説いたとしても、オウム(自分)のいってることは理想としてはわかるんだけどできない」。オウムを自分に変えれば麻原のやってることが納得いくわけで・・・。っていうんだったら、ビフテキのことも説明を付けることも可能なわけで・・・。
次のページ