5.オウム真理教とは



 ではオウム真理教は何を信者に教えていたのかについて書こう。

 まず、麻原は「真解脱者を3万人出す。そうすれば、オセロゲームで白の間の黒はすべて白にひっくり返ってしまうように世の中の“質”を変えることが出きる。」とテレビで語っていたそうだが「解脱ってなんだろうか?」というのが僕の疑問であった。
 
 〜オウム真理教の解脱の定義〜
 解脱とは経典『ヨーガ・スートラ』では“肉体機能を停止させて仮死状態を作る”秘法でこれが出来れば“解脱”とみなされるらしい。だから、オウムが信者を「土に埋めて何日いられるか」とか「水中に何分いられるか」とかさせてたんじゃないかとおもうが、麻原は当時“日本で唯一の最終解脱者”と称してたのでそれが出来たのか・・・。でも、テレビでやってた水中のやつで信者は15分ぐらい入られたんだけど麻原は3秒ぐらいですぐ上がってたと思うのだが・・・。

 仏教では“この世のすべての煩悩(ぼんのう)から解放され、迷いの苦悩からぬけ出て、真の自由の境地に達すること”だそうだが、最終解脱者の麻原はビフテキ食ってるし、俗世を捨てたというよりはしがみついてるような感じでとても“煩悩から解放された”とは言えないのでは・・・。

 
 そして、オウムの教理の中で重要なのは、“最終的に「空」に導かれること”だそうだ。
 それは“そら”と読むのか“から”と読むのか“くう”と読むのか分からない。本にそうかいてあるから。でも、オウムの理論では、当時('95)オウムの在家信者だった坂元新之輔という人はこう語る。

 自分23.5のデータで表す。これを修行によって払い落とすと解脱に達した状態では“0”(ゼロ)となる。これが本来の自分である。だからそれまで入っていた23.5のデータの自分は本当の自分ではない。他人を例にとって見るとその人は38.5のデータで表したとする、それはその人の本来の自分ではないので、その人もその人のデータを払い落としてゼロになれば、あなたもゼロ。自分もゼロでイコールだ。
 この段階に達したとき、あなたは私、私はあなたになり、利己の追求が初めて利他につながるようになる・・・っと。

 ・・・論理的には結構いいと思うが、麻原のビフテキ問題はその論理でいくとどう説明がつくのだろう? まあ、信者の考えようによっては「麻原にビフテキ食わせれば、それは自分に対して霊的パワーを授かれる原動力(精力)になる」とでもいうのだろうか?
 しかし、信者が何と言おうと麻原自身は「世の中、一番大事なのはカネだ」と言っている人である。僕にはとても麻原が“ゼロ”の境地に達した者の言うセリフではないと思う。

 話はそれましたけど、その“空”っていうものを身体でわかるためには、これまたオウムで重要な“光の体験”をすることなのだという。このオウムにとって重要な“光の体験”とはどんなものだろうか? 神秘体験のことだろうか?

 神秘体験はオウムの信者ならだいたいは経験しているという。では神秘体験とは? この場合の神秘体験とはテレビなどで言うならば“洗脳”とか“マインド・コントロール”だと思われる。


 〜オウム真理教式“神秘体験法”〜

 睡眠不足にし、ろくに食事もとらせず、何時間も修行を続けさせる。そうすると意識が朦朧(もうろう)とし誰でも幻聴幻覚症状が現れるようになる。

 これを高弟たちは「クンダリーニが上がって来た証拠だ」と言うのだそうだ。また、麻原尊師の“イニシエーション”からも神秘体験が得られると言う。それはどういうことか?


 〜教祖麻原による“イニシエーション”〜

 この麻原の“イニシエーション”はLSDを使用してやるという。LSDとは麻薬である。
 まず、麻原から直接液体を手渡されるらしい、そのとき麻原は何かの呪文をとなえて渡すという。その液体を一気に飲み干すと・・・。
 すさまじい閃光が脳の奥を走る。飲んだ瞬間、吐き気、頭痛が襲う。そしてテレビでよく見る“オウムのヘッドギア”(PSI)を装着される。数ボルトの電流を流し脳を刺激し、麻原の脳波を直接伝えるのだと言う。
 そして、次はマインド・コントロールにもっとも効果があるといわれている目に交叉信号を送る機械、“黒いメガネ”のようなもので、左目が赤、右目は青とか緑の光を別々に点滅させる。それによって、左右の目に強制的に信号を認識させるのだそうだ。
 さらにそのメガネをつけたまま、液体が入ったクッションの上で座禅を組むと、そのクッションが小刻みに激しい振動を繰り返す。

 LSD投与→→電流が流れてるヘッドギア→→チカチカするメガネ→→よく揺れるクッション

 そんなことを一度にされると幽体離脱しているような感じになったり、突然意識が別次元に飛んだようになったり、地獄の世界に落とされたような感じになったり、花園が見えたと思えばいきなり恐怖の世界に入りこんだような体験をするらしい。それを神秘体験と言うのなら、アーティストなんかは麻原なしでもよく神秘体験をしてるんでしょうねえ。

 神秘体験と言うよりは麻薬体験って言った方がいいのではないかと思うが・・・、でも、それでも神秘体験を体験していない者もいる。たぶん彼らは麻原の1回100万円もするイニシエーションを受けなかった人たちであろう。そういう人たちは予言を信じている人たちが多い。

 予言。麻原は多くの予言をしているという。当たったと思われるのもある。

 麻原は1995年当時、一月の初めに、「1月18日頃に神戸に地震が起こる」と予言しており、実際は1月17日だったわけだけど、「18日頃」って言ったし、的中したと言えよう。パチパチ。よく日時、場所までわかったね(笑)。
 他にもいくつか当たったのもあるし他の予言者と呼ばれる人たちよりはマシかと思えるが、当然のこと“ハズレ”もあるでしょう。

 ではこのようなものに興味を引かれオウムに入信したらどうなるか?

 @ 家族と連絡を断たなければならない。
 A 財産をすべて教団に贈与しなければならない。

 これは出家の場合なのですが、在家信者も多額の御布施を強いられるらしい。まあ、イニシエーション(麻薬体験? いや、神秘体験)でさえ1回100万円ですからね。それとか麻原の毛とか風呂の水がオークションで10万円ぐらいするっていうからすごいの一言に尽きる。


 あと、オウム信者がよく口にするのが“身体的な知”とか身体的リアリティである。
 


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